タッチレスショッピングに関しては、ひとつの技術だけですべてを実現できるわけではありません

2020年7月16日

タッチレスショッピングに関しては、ひとつの技術だけですべてを実現できるわけではありません

著者:Avery Dennison Corporation、Julie Vargas

  • 新型コロナウイルスにより、食品業界のデジタルベースの利便性への移行が加速しました。
  • アナリストの中には、あるソリューションが他のソリューションよりも優位に立つと予想する人もいますが、より賢い選択は、様々な技術がそれぞれの強みを発揮するエコシステムです。 
  • RFIDは統合されたデジタルエコシステムの一部となり、非接触型ショッピング、grab-and-goの利便性、大幅に改善された在庫管理を実現します。 

Amazonをはじめとする利便性の高いブランドが画期的な技術を採用したことで、食品業界ではすでに「より早い、より簡単な、より楽しい」買い物を実現すべく、デジタルトランスフォーメーションに向けて動き出していました。 SOTIによるAnnual Connected Retailer Surveyによると、2019年1月の時点で、73%の消費者がショッピング体験を向上でき、人との関わりを減らすためのセルフサービス技術に賛成であると回答しています。 

現在、新型コロナウイルスの流行により、その動きは加速しています。より多くの消費者が迅速な非接触型の取引を求め、食品業者は従業員やサプライチェーンへのプレッシャーを感じています。 今まで時間の節約だと考えられていたものが、今では命を救うためのものとなったのです。

今、問題となっているのは、食品業界がフリクションレスショッピングを実現するための技術を導入するかどうかではありません。 問題は、利用可能な技術のうちどれが優勢になるかということです。

店舗技術への支出は、すでに昨年比3.7%増となっており、コンビニエンスストアや食品業者などの分野で急増しています。 新型コロナウイルスによる食品アプリの1日のダウンロード数は、今年の初めに218%増加しました。 米国を拠点とする食品技術企業へのベンチャー資金は、6,000万ドルから10億ドルとなり、1,566%という驚異的な伸びを示しています。 そして、食品販売の17%がデジタル化の取り組みに帰属するものであり、2018年の5%から急増しています。 

今、問題となっているのは、食品業界がフリクションレスショッピングを実現するための技術を導入するかどうかではありません。 問題は、利用可能な技術のうちどれが優勢になるかということです。 

アナリストの中には、あるソリューションが他のソリューションよりも優位に立つと予想する人もいますが、より賢い選択は、様々な技術を組み合わせ、それぞれのソリューションが強みを発揮するエコシステムです。  

例えば、画像認識ベースのシステムは優れた技術です。 カメラ、センサー、人工知能の相互作用は驚異的であり、grab-and-goは誰もが求めている体験ではないでしょうか。

しかし、多くの食品業者にとって、画像認識ベースのシステムはコストがかかり、実用的ではありません。 彼らが求めているのは、既存の店舗を改装し、小売ブランドではなくシステムに合わせて改良設計できる、具体的かつ制御された店舗環境です。 また、ウェッジチーズ、パッケージ済みカットフルーツ、肉の切り身など、見た目は似ていても重量によって価格が変動する個品を差別化をする際、十分な精度を発揮しません。  さらに、画像認識ベースのシステムの利点は、主にカスタマーエクスペリエンスに限られており、バックエンドのROIはほとんどありません。

ここで、RFIDタグが多大な価値をもたらします。 RFIDは、多くの食品業者にとって導入が容易で費用対効果の高いフリクションレスなカスタマーエクスペリエンスを提供するだけでなく、食品業者のオペレーション全体に大きなメリットをもたらします。 以下がその一例です:

  • 容易な統合。 RFIDベースのシステムは、改装することなく既存の店舗設計に統合することができます。 店舗は技術ではなく、ブランド(と最適なカスタマーエクスペリエンス)に合わせてレイアウトすることができます。 
  • 原産地から店舗に至る個品レベルのトレーサビリティ。 画像認識技術とは異なり、RFIDタグはサプライチェーン全体の可視性とトレーサビリティを劇的に向上させることができます。
  • ブロックチェーンとの相性の良さ。 RFIDはchain-of-custody (生産物流管理)を記録することができ、ブロックチェーンソリューションを徹底的に補完します。
  • 賞味期限切れ製品の廃棄物の削減 画像認識システムとは異なり、RFIDは賞味期限を自動管理することができ、コストと廃棄物の削減を実現します。

幸い、RFIDと画像認識ベースのシステムは共存が可能です。 このようなニーズと手段を持つ食品業者は、RFIDを導入することで、店舗での画像認識ベースのフリクションレスショッピングを補完すると同時に、RFIDのユニークな利点をバックエンドで活用することができます。 例えば、Nesteがヘルシンキで展開している革新的なRFID対応の店舗コンセプトは、24時間365日、フリクションレスショッピング体験を実現するために設計されたものです。 

アーリーアダプターや現在進行中のパイロットプロジェクトから業界が知識を得ていく中で、最終的には、人工知能、自動化、データ共有、人間の介入を統合して、複数のタッチポイントでパーソナライズされた予測型のインタラクションを提供するフリクションレス技術に対して、総合的で「不可知論的」なアプローチをとるようになると考えられます。 どの技術を導入するかは、最終的には食品業者の目的とデジタル戦略、そしてどれだけ深くビジネスを変革したいかによって決まります。

食品業界のRFIDに関する無料レポート「フリクションレス食品の未来」をダウンロードできます。 またはこちらから直接Avery DennisonのRFID戦略家までご連絡 ください。

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