自動車業界

2021年3月25日

RFIDが自動車業界のインダストリー4.0をいかに加速するか

RFIDの統合は、自動車メーカーのプロセスを合理化するだけでなく、パーツサプライヤとの透明な統合を実現し、インダストリー4.0によるデジタルトランスフォーメーションの潜在的なメリットをすべて実現します。

自動車業界におけるRFID技術の情報を検索するためにウェブを閲覧すると、数多あるRFIDのビジネス上の利点を論じた記事が複数見つかります。

自動車用RFIDシステムはサプライチェーンを根本から変えているだけでなく、CASE (Connected:コネクテッド、Autonomous:自動化、Shared:シェアリング、Electric:電動化の頭文字)の移動サービスも増加傾向にあります。 これらの技術に柔軟に対応し、将来を見据えた考え方を採用することで、企業は時代を先取りすることができます。

自動車業界

Avery Dennison Smartrac Dogbone - グローバルな産業用アプリケーションで共通のUHF RFID製品


RFIDにはこのような明確なメリットはあるものの、技術面や導入面においては依然として複雑かもしれません。 グローバルな製造現場では、具体的にどのような仕組みになっているのでしょうか? RFIDには耐性がありますか? RFIDは安全ですか? ここでは、RAIN RFIDラベルとしても知られる超高周波(UHF)パッシブRFIDラベルを例に挙げて、その疑問にお答えします。

グローバルな追跡を実現
RFIDリーダーは、各国の周波数に設定されているため、それぞれの地域で使用することができます。 国ごとに周波数規格が定められていますが、ほとんどのRFIDラベルはグローバルに使用できる設計になっています。 また、金属対応タグのように、特定の周波数に合わせてRFIDラベルを設計することも可能です。

メリットと制約
RFIDラベルは、環境によっては技術的な課題があります。 例えば、周囲の金属や他の電波がRFIDの読み取り距離に影響を与えることがあります。 これはRFIDラベルがパッシブであり、自動車のRFIDリーダーから受け取る電波を反映(後方散乱) するからです。 金属やコンクリートの壁などの電波は、リーダーやラベルからの信号に影響を与えたり、遮断したりすることで、読み取り性能や読み取り距離に影響を与えます。 このような制約があるものの、自動車用RFIDラベルのメリットは、その制約をはるかに上回るものです。 

そして多くの場合、ラベルがきちんと機能するよう対応策を見つけることができます。 例えば、リーダーの信号の位置や調整を慎重に行うことで、信号が遮断されたり、何らかの形で妨害されたりしないようにすることができます。 金属面にFlagTagやフォームタグを使用することで、タグが信号を乱すことなく後方散乱できるようにします。

RFIDタグ上でエンコードされたデータは信頼のおけるものですか?
通常、RFIDラベルやタグに埋め込まれているシリコンチップは、誰でも過去のデータに追加、上書きして情報をエンコードすることができます。 しかし、一部のチップでは、メモリバンクのロックやデジタル署名の作成が可能です。 また、TID(タグID)メモリーブロックに格納されている固有のタグID番号は、誰にも変更できません。 

Avery Dennison Smartracは、長い読み取り距離を必要とするアプリケーションや、データを保存するための拡張ユーザーメモリを必要とするアプリケーションに最適な、様々なセキュリティオプションを提供します。 OEMは情報を暗号化することができますが、データの保存方法には標準フォーマットが存在します。 

効率的な一括読み取り
RFIDリーダーは、通常合、特定の範囲内にあるすべてのRFIDタグを一括して読み取ります。 このリーダーは、個々のIDコードを瞬時に認識します。

タグはリーダーの信号を使って電源を入れ、データのリクエストに応えます。 その後、リーダーからのキャリア信号を調節または制御し、信号を反射(後方散乱)させます。 この低振幅の信号は、リーダーによって検出され、デコードされます。 

リーダーの配置と範囲は環境によって異なります
施設内で読み取りポイントを作成したい場所ごとに、個別のリーダーが必要です。 RFIDラベルの読み取り距離は、電波を遮るものがなければ10m以上のものがほとんどですが、読み取りポイントごとにリーダーを最適な状態に設定する必要があります。 そのためには、出力や読み取り距離を小さくする必要があることもあります。 

自動車業界

RFIDリーダーの動作


...自動車の環境は時に厳しいものです

RFIDラベルのほとんどは、テスト時の通常温度である-40℃から+150℃に余裕で耐えることができます。 この温度範囲内だと読み取りができない場合もありますが、動作温度に戻れば読み取りができるようになります。 ラベル内のインレイの一般的な動作温度範囲は-40℃~85℃です。 ラベルは通常、限られた時間内であれば、さらに極限の温度環境下でも動作します。

OEMのニーズに合わせてカスタマイズされたラベル
OEMは、自社のプロセスに最適なRFIDラベルを選択します。 タグのデザイン、メモリ、アンテナのデザインなど、評価しなければならない変数がいくつもあります。 

私たちは多くの顧客、OEMとともに仕事をしてきました。そのため、取るべき方向性についてもしっかりと把握しており、正しいソリューションについてアドバイスすることができます。 例えば、当社の主要なコンバータパートナーの1つであるALT Technologiesは、異なるRFIDインレイを、事前に定義された素材と事前に定義されたサイズの標準ラベルに加工し、カスタムソリューションに適合させることができます。 OEMはラベリングソリューション以外にもRFIDの可能性を認識しており、自動車パーツサプライヤにとってもRFIDの重要性が高まっています。

印刷要件
RFIDラベルは、現在のバーコードラベルを印刷するのと同様の方法で作成されています。 プロセスを変更する必要はなく、RFIDエンコード機能を搭載したプリンターを使用できます。 プリンターメーカーは通常RFID対応のプリンターを用意しており、見た目は現在使用しているバーコードプリンターと全く変わりありません。

RFIDのエンコードと印刷を同時に行います。 これらの処理は、データベースの場所によって、オンラインとオフラインの両方で行われます。 プリンターとリーダーは、すべてのRFIDに対応していますが、設定を調整する必要があります。 つまり、1種類のプリンターとリーダーで幅広い顧客に対応することができます。 

ただし、バーコードが取って代わられるということではありません。 バーコードとRFIDは常に一緒に使用されることになるでしょう 併用することで、どちらかが故障した場合の冗長性を確保するだけでなく、RFIDリーダーが(まだ)設置されていない施設でも機能を発揮できるようになります。

あらゆるアプリケーションに対応するソリューション
Avery Dennison Smartracは、20年以上にわたって自動車業界のTier1サプライヤやRFIDメーカーと連携してきたALT Technologiesのような主要なコンバータパートナーと密接に協力してきました。 私たちには、自動車業界のニーズに最も適した合理的なソリューションを生み出す経験とパートナーがいます。 

RFID技術によるプロセスの合理化や効率化については、こちらをご覧ください。

関連するコンテンツ

技術による進歩: Avery Dennison Smartracタグを搭載したAudi車

ドイツの高級自動車メーカーであるAudiは、ハンガリーの工場で組み立てられた車両の追跡に、RFIDベースのシステムを導入しました。 Avery Dennison SmartracのDogbone™ UHFタグを、仕上げ、保管、出荷の各工程における各車両の位置情報を提供するシステムに活用しました。 その結果、車両の位置を確認して運搬するドライバーの労力を軽減し、製品の生産管理に向けた可視性への向上につながりました。

車内での水漏れは過去のものとなります

窓のパッキン、ウェザーストリップの取り付け、ボディーの継ぎ目は車内の水漏れの主要原因であり、工場での製造過程から問題となります。 Avery Dennison Smartracが、自動車のシャーシのような過酷な環境、すなわち金属面で機能する初のパッシブ水センサーを発売しました。このセンサーがあれば、水漏れはなくなります。 このソリューションは、OEMの高級車のテストをパスしており、工場から出荷される車両の完全な防水性を保証しています。また、航空機製造、造船、液体パッケージングなどの業界での応用も考えられます。

新製品は高温RAIN RFIDタグに対する自動車メーカーのニーズに応えるものです。

3つのハードタグにより、自動車メーカーに対し、高温となる塗装工程に耐えうる耐熱性RAIN RFID(UHF)を提供します。